死神

すべての時を見つめながら今を生きることの苦しみを誰も知らない。地球の終わりがやってくることを知りながら、切り倒されていく木々の思いに耳を傾ける人はいない。木が失われてゆくことは、わたしたちの命もまた、失われてゆくということだ。森羅万象の世界に死はないが、人間の都合に支配された魂はやがて病気になり、死に向かっていくことだろう。いのちが削られていくことは、森羅万象にとって最大の悲しみである。